1100万円貯めた人が陥った悲劇

収入を伸ばす能力と、資産額を伸ばす能力というのは違うという事は以前からお伝えしていたかと思います。 どんなに儲かっても、生活水準を上げたりしてそれを使ってしまえば、残る額が小さくなりますし、 稼ぐ能力が低くても、それを堅実に貯めたりする能力が高ければ、長期的には資産額は大きくなりやすいです。 が、注意しなければならないのは、資産構築において貯めると運用するとでは能力がまた全然違うという事です。 以下の記事は「せっかく貯めた頭金を運用に回し、全額ローンで住宅購入した男性の悲劇」という記事なのですが、 http://certificate-ex.com/Lb7/28481 この主人公の人は、39歳で子供2人で貯金額が1100万円あったそうです。 結婚して、子供が2人いて、30代で貯金1000万円以上というのは一般的に多い方だと思います。 ゆえに、コツコツ貯める能力には長けているという事です。 しかし、結局この人は子供の教育費のために貯めていたお金を切り崩すまでの生活に陥ってしまったのですが、 そこには、運用能力の欠如があったという訳です。 具体的には、この1100万円というのはマイホームの頭金として貯めていたそうなのですが、会社の同僚から住宅ローン減税を使って全額借入で家を買い、その1100万円は別の投資で運用した方が、得であるという助言を聞いて、その通りにしました。 この考え方自体は私も賛成で、自分が同じ立場だったらいくら頭金があろうと、全額借入で買うと思います。 住宅ローン減税とは、毎年借入残高の1%(10年間合計400万まで、1年間の上限は13.65万円)が所得税から控除されるというのものです。 そして、住宅ローンの金利はタイプや借入先で様々ですが、例えば35年固定で1.24%です(みずほ銀行の場合)。 つまり、年間に1.24%以上の利回りを出す運用が出来れば、住宅ローン減税分だけ得になります。 もちろん、1.24%を超える部分については、そのまま運用差益にもなります。 しかし、ここで問題なのが、1.24%以上の運用益を出せる知識と能力があるかどうかです。 日本の金融商品の場合は元本保証で1.24%以上の利息が付くものはほぼ皆無なので、株や投資信託など元本毀損の恐れのある商品に投資をしていく必要があります。 さらに、海外では元本保証の定期預金で利率1.24%以上のものなどはざらにありますが、日本円で借入は返済するという事を考えると海外の商品には為替リスクが生じます。 ゆえに、ここをどうやって解決していくかという事で、知識と能力が求められるという訳ですが、この人は投資の運用の知識も経験も勉強意欲もなかったらしく、貯蓄型の保険なら安心だろうという事で、外貨建ての終身保険商品を買ったそうです。 上述の通り、「外貨建て」と付く時点で為替リスクが発生します。 さらには、こういう商品は満期までに解約してしまうと、元本すら保証されない事も多いので、間違えたと思ってもすぐには引き出せません。 よって、借入を返済するために、生活費を切り詰めて、教育費として貯めていたお金にまで手をつけなければならない状況になってしまったという訳です。 投資は何かに投じればその後は特に何もする事がないというメリットがありますが、その分リスクリターンの計算や、投資対象物の選定など、投資をする前にあらゆる事を想定して、メチャクチャ考える必要があります。 これを怠ってしまったら、投資ではなくギャンブルになってしまいます。 資産構築のためには、貯蓄する能力も必要ですが、自分の現在の運用能力も知って、それに応じた行動を取らないと、せっかく貯めた資産が減ってしまうという事にもなるので、そこにも注意が必要だと考える次第です。

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