資金を貯めるなら会社か個人か?

このメールマガジンを読んで頂いている方の中には、私と同じように会社を設立して事業を行っている人も多いと思います。 そういった方の中に時々、自分に支払う給与は安くして会社にお金を貯めているという人がいますが、そういう人は最終目的を今一度再確認し、それでよいかという事を検討する事をお勧めします。 というのも、そもそも会社を作る目的は一義的には以下の3つぐらいかと思います。 ・節税 ・信頼性 ・融資 いずれも、あくまで一義的な目的で最終的には上記の事を通じて資産をより多く構築する事が目的になるかと思います。 そして、この資産というのは会社の資産ではなく、自分個人の資産を指す場合が多いかと思います。 であるならば、個人に如何に資産を残すかという観点で物事を考える必要があります。 例えば、1年間事業を行って会社で1000万円の利益が出たとしてます。 極端の例を出すと自分への給与がゼロだとします。 すると、法人の税率は約23%なので、230万円の支払いが生じます。 http://www.santanda.com/info/info_7.html 注)以下、税率計算は全てこの表掲載の税率を参照しています 残った資産は会社に770万円です。 さらに、翌年113.5万円(社会保険料の会社負担分+法人住民税の均等割分)だけ事業で稼ぎ給与770万円を払ってその後会社を辞めるとします。 例えば東京都の場合、年間770万円(月額:641千円)の給与だと会社負担分と合わせて年間213万円(月額:177千円)の社会保険料を納める事になります。 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h30/ippan4gatu_2/h30413tokyo_02.pdf ゆえに、社会保険料を控除した給与の手取りとしては770-106.5(213/2)=663.5万円です。 又、770万円の給与の場合給与所得控除が197万円認められます。 そのため、課税所得金額は770-106.5-197=466.5万円です。 *その他の各種控除項目は差異がないのでここでは省きます この時所得税が50.6万円かかります。 住民税は、46.6万円で、合わせて97.2万円です。 これを663.5万円から引くと自分の資産として残るのは、566.3万円(663.5-97.2)です。 合計、1113.5万円(1000+113.5)稼いでいて個人の資産として残るのは566.3万円です。 一方、1年目で稼いだ1000万円は1年目に個人に給与として払うとします。 ただし、社会保険料の会社負担分(110万円)、会社の法人住民税(均等割-7万円)を加味して給与は月額73万円(年収876万円)とします。 この時、個人負担分の社会保険料110万円、給与所得控除208万円を控除すると課税所得金額は558万円(876-110-208)です。 この時所得税が68.9万円かかります。 住民税は、55.8万円で、合わせて124.7万円です。 これを766万円(876-110)から引くと自分の資産として残るのは、641.3万円(766-124.7)です。 この時点で会社に貯める場合(566.3万円)と比べて個人に最初から給与としては払ってしまった方が75万円(641.3-566.3)も資産が多く残る事になります。 翌年113.5万円は稼いで辞める事になっているので、これをまた給与として払うとすると、その差はさらに大きいものになります。 今回は単純に翌年に会社を辞めるという前提で計算しましたが、何年やっても基本的にはこういった計算方法になり、個人の資産を構築するという事においては、会社で稼いだ分を個人に全額その期に給与として支払ってしまった方がお得です。 これは、期をまたいでしまうと、会社には法人税がかかってしまうので、その分自分に支払う給与が減ってしまうという事によります。 又、個人で投資などをしている場合には、給与として払われない分の機会損失が年数が経てば経つほど複利的に増えていくので、そういった意味でも会社で稼いだ分は個人に給与として支払うという事がよいと考えます。 もちろん、事業の内容によっては、資金繰りなどもあり、全額給与として払うというのが難しい場合などもあると思いますが、会社をやっている人はそれらも加味しつつ出来るだけ自分に支払う給与を上げる事をお勧めします。

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