会社利益を個人へ高額給与として払うのと会社へ内部留保するのは個人資産においてどっちがお得か?
このメールマガジンを読んでいる人の中には、
自分で会社を作り、経営されている方もいると思います。
そして、会社のお金というのは1人会社であれど個人が自由に使えるものではないため、
会社にあるお金と、個人のお金というのは区別されます。
よって、個人で資産1億を作るためには、
いつかは、個人に会社でも稼いだお金を支給する必要があります。
そのため、稼いだお金をどうやって個人に支給する事が、
一番個人にお金が残るのかという事を思案している経営者の方も多いと思います。
というのも、個人の所得は累進課税で最高税率55%(住民税含む)でさらに社会保険料もかかってきます。
一方、法人の実行税率は所在地や規模、稼ぎで多少異なりますが、平均するとMax30%程度と低くなります。
よって、
今日は、「会社利益を個人へ高額給与として払うのと会社へ内部留保するのは個人資産においてどっちがお得か?」
というテーマで私なりの考えを述べたいと思います。
<前提>
・1人会社(自分1人)
・年間会社利益:3000万円
・この状態が10年続くと仮定
まず、会社利益を全額個人へ給与として支払った場合、これはシンプルですが、
各種税金/社会保険料を考慮すると、手取りは大体6割の1800万円です。
これを10年なんで手取り合計は1億8000万円となります。
次に、個人給与は400万円として、残りを会社に内部留保したとします。
個人給与400万円の場合には手取りは約8割の320万円です(累進課税なので所得が下がれば税率は下がります)。
よって、個人給与の10年間の手取り合計は3200万円です。
一方、会社については1年間に2600万円の利益が残りますが、法人税等で3割の780万円が支払われる事になります。
そのため、内部留保金額は1820万円です。
これが10年続くと、1億8200万円のお金が会社に残る事になります。
しかし、これはあくまで会社のお金なので、これを個人に払う必要があります。
すなわち、これを税率の安い退職所得で支払うとします。
そうすると、10年勤務なので退職所得控除は400万円となり(細かな計算は省きます)
(18200-400)×0.5=8900万円が課税所得金額となります。
所得税、住民税合わせて約半分の4500万円が税金として取られます。
よって、1億8200万円の会社の内部留保金を全額退職所得として個人に払うと1億3700万円の手取りとなります。
上記の10年間分の給与と合わせて、手取り合計は1億6900万円(3200+13700)です。
ゆえに、会社利益を毎年全額個人に給与として払うのと、出来るだけ内部留保して最後に退職所得などとして払うのとでは、
あまり違いはないという事になります。
上記のざっくりした計算結果だけを見ると毎年全額個人に給与として払う方がよかったりもします。
もちろん、稼ぎの金額や勤続年数、各種控除の関係などで計算は変わってきますが、1人会社であればそれほど大差はないという事です。
そして、割引現在価値という考え方に従うと、
もらえる手取りの総合計が一緒であれば、出来るだけ早くもらえた方がそれを投資で運用出来たりするので、
その価値は高くなります。
よって、様々な前提条件で結論は異なったりしますが、
個人的な見解としては、どんどん稼いで、それを全額給与として払い、
個人資産として投資で運用していくというのが最も早く個人資産が構築出来る流れだと考えています。
所得税率が上がったり、年々給与所得控除の上限値が下がってきたりと、個人が資産を構築しにくい環境化には
なってきていますが、マクロ環境というのは1個人では変える事は出来ないので、
その中で変える事の出来る稼ぎの額を増やす事に注力するのがやはり何よりも重要だと考える次第です。