主婦が働くときの130万円の壁
税制というのはその性質上毎年見直されます。
来月から来年度の税制改正に関する議論が始まりますが、
来年度の税制改正のトピックは以下の4つです。
・タックスヘイブン税制
・ビール税
・エコカー減税
・配偶者控除の見直し
個人的には、タックスヘイブン税制がどのように改正されるのかが一番気になりますが、
広く関心があるのが恐らく「配偶者控除の見直し」だと思います。
よく主婦(主夫の場合もありますが)の人がパートなどの仕事に出ると、年収103万とか130万円を超えると税金や社会保険料がかかり損をするからそこまでに収まるように稼ぎをセーブしようというものです。
この働き損の議論の糸口が上記の配偶者控除見直しの議論となるのですが、
現行上も結論から言うと、税金に関しては主婦の人がいくら働いても世帯の可処分所得(税引後所得)が減る事はないので、
実は103万円というのはあまり意識してもしょうがない数値だったりします。
つまり、103万円を超えると夫の税金計算で配偶者控除が使えないなどの形式的な変化はありますが、
夫と妻両方合わせた最終的に残る世帯全体の可処分所得については、主婦が103万円を超えても稼げば稼ぐだけ多くなります。
よって、実質的な働き損は世帯全体で見ればありません。
一方、130万円の壁というのは税金ではなく社会保険料の話となります。
これは、実質的な働き損が現行制度上あるので注意をした方がよいです。
現行制度上は主婦の年収が130万円以上になると、夫の扶養から外れ、
社会保険料を自分で納めなくてはいけなくなります。
具体的には、妻の稼ぎが129万円の時に世帯全体での(夫の収入も合わせた)可処分所得(税金/社会保険料控除後残るお金)が550万円だったとします。
夫の年収等は変わらず、妻の稼ぎが1万円増え130万円になった瞬間世帯全体での可処分所得が533万円となり、17万円も損をする事になります。
これが130万円の壁です。
これがあるからこそ、主婦は130万円までしか稼ぐモチベーションが湧かないというわけです。
ちなみに、再び世帯全体の可処分所得が550万円になるのは、妻の稼ぎが157万円になったときです。
よって、130〜157万円までの間は、129万円の稼ぎより世帯全体では損をするのです。
これは、税と社会保険料が今まで別々に管理されていた事の弊害で、
マイナンバーなどを導入してこういったゆがみを今解消しようとしています。
これがしっかり解消されれば、103万とか130万とか考える事がなくなるのでスッキリしますね。
来年度この壁が取っ払われる事になるのか来月からの来年度の税制改正に関する議論にかかっています。
個人的にはこんな単純なゆがみをずっと放置せざるをえない日本の決断力のなさ及びスピーディーに解決出来ない制度上の仕組みが赤字垂れ流しの日本の財政体質そのままを表しているなと思います。