タックスヘイブンの国はどうやって国を運営しているのか?

今日は、「タックスヘイブンの国はどうやって国を運営しているのか?」という話をしたいと思います。 まず、そもそもタックスヘイブンとは、税金が無税になったり低かったりする国や地域の事を指します。 「タックスヘブン(tax heaven=税金天国)」ではなく、「tax haven=租税回避地」となります。 日本は、個人の最高税率は住民税と合わせて55%で消費税も10%に引き上げられようとしており、相続税も最高税率50%で、間違いなく税金大国です。 これに加え社会保険料率も年々上がっており、稼いでも稼いでも、何かしらの名目で国に資金が徴収されてしまいます。 これは、広く国民から税を徴収してそれにより国家を運営していくという国の方針によりそうなっているわけで、それにより、公共サービスが充実し、今の日本の社会が成り立っているというのも事実です。 一方、税金を徴収しないタックスヘイブンの国々というのは、なぜ税を徴収しないのかというと、日本とは国の置かれている環境が全く異なり、国家戦略が違うからです。 日本の場合には既に成熟国家で、人口も1億人以上おり、インフラも整備されています。 さらには、生活する上での気候もそんなに厳しい訳ではないので、言語という意味でも日本人が日本外に出るというインセンティブはそこまで働きません。 しかし、タックスヘイブンの国というのは日本のような先進国ではなく、小国がほとんどです。 以下、タックヘイブンの主要な国と地域をざっと列挙しましたが、地理的にも小さく、人口も少ない小国ばかりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー マン島、ジャージー島、ジブラルタル、サンマリノ共和国、モナコ公国、ドバイ、香港、シンガポール、モーリシャス、ニューカレドニア、パナマ、ケイマン諸島、バハマ、バージン諸島、バミューダ島 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー こう見るとほとんどが島で、ほぼ居住実体がないようなペーパーカンパニーがほとんどなんだろうなと思います。 しかし、運営者の居住実体がないとタックスヘイブン税制という税制度により、折角タックスヘイブンの地で稼いでも、日本で税が徴収される事になるので、 上記で実際に住める地域でタックスヘイブンの恩恵を合法的に受けるとなるとかなり限定はされます。 話が少しそれましたが、なぜ上記のような小国が税を徴収しないかというと、 そうでもしなければ、人が来ず豊かになれないからです。 上述の通り日本などは既に成熟国家で、人口もインフラも整っているため、十分豊かであり、上記のような税金徴収システムが成り立ちます。 これに対し、人が元々いないような国では産業が成り立たず、消費も起きないため、豊かになりようがありません。 よって、まずは人を自国に呼ぶ必要があります。 この施策の一つが税金を安くする(もしく無税)という事になります。 税金がなくなれば、マネーは確実に流れてきます。 これにより、分かりやすいところだと金融機関は必ず乱立する事になります。 そして、当然そこで働く人手がいるため、雇用が創出されます。 雇用が創出されると、給与が上がるので消費も喚起されます。 消費が喚起されると、モノが売れるので、商売を始める人も増え、 銀行からの融資も増えます。 というように、マネーが一気に好循環に流れるようになり、 小国でも加速度的に成長する事が可能になるのです。 その典型がシンガポールで、行かれた事のある方は分かると思いますが、 赤道直下で気候的には暑く、国土も狭いのに、巨大なビルが乱立しており、独立してまだ50年程度ですが、急速に発展を遂げています。 又、シンガポールの所得税率は無税というわけではなく、最高税率20%なので、 人が来れば来るほど、税収は多くなっていく仕組みになっています。 なお、完全無税の国等は会社のライセンス料といって毎年1法人100万とかを自動で徴収する仕組みになっているので、これも実は進出する企業が多くなればなるほど、国に入るお金は増えます。 さらには、小国ならではですが、こういった国の産業には国営企業がもの凄く幅を利かせており、 人が来て、消費が喚起されると、その消費をするモノやサービスを提供している大部分は国だったりするので、そこでも国の財政は潤ってくる事になります。 ゆえに、タックスヘイブンの国や地域は、小国だからこそ、まずは人を呼び込む事を無税という戦略でやり、 マネーが循環したら、そこに来た人が退避しないようなところでしっかり徴収しているというわけです。 これは、ビジネスと共通している気がして、無名の企業はブランドもないので、まずは自社や自社商品を知ってもらうために、無料で商品やサービスなどを配る事が必須です(フリー戦略)。 これにより、広く知ってもらい、そこからがビジネスのスタートだったりします。 国単位でも、まずはこのフリー戦略をしないと、そもそも現在自国である程度満足している人たちを動かすほどの魅力を感じてもらう事は出来ないので、 タックスヘイブンという戦略はマネーを呼び込む賢い戦略だなと改めて思います。 国というのは形式で、あくまで人が集まって構成するものなので、そういう意味でも国の運営も、ビジネスの運営も一緒だなと思う次第です。

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